肩こりは、鍼灸が症状の改善に効果的な施術方法です。
肩こりの原因となっている緊張している筋肉に鍼を刺すと、血流が良くなり、筋肉の緊張が緩和され、鎮痛効果が現れます。
お灸もすると血流が良くなり、より筋肉の緊張が緩和されます。
鍼とお灸をすると身体の中でどのような反応が起きて肩こりに効果があるのかや、肩こりに対する鍼灸の施術方法を詳しく説明します。
鍼灸治療がなぜ肩こりに効果があるのか?
肩こりは、肩や首・肩甲骨周りの筋肉が緊張することで、痛い・重だるいなどの症状が現れます。人によって症状がでる場所が異なり、緊張している筋肉も人によって異なります。また、複数の筋肉が緊張している場合もあります。
肩こりの原因に直接届く鍼
肩こりの鍼治療は、肩こりの原因となっている筋肉に鍼を刺します。
鍼の一番の特徴は、身体の中に鍼を入れるため肩こりの原因となっている筋肉の深いところに直接アプローチできるというところです。
マッサージでは表面から圧を加えて筋肉を刺激しているので、どうしても身体の奥の深いところには届かない場合があります。鍼はその深いところにある筋肉に直接届いて、肩こりの原因となっている筋肉の緊張を根本的に改善することができます。
肩こりの原因となっている筋肉に鍼を刺すと、身体の中で2つの反応が起きます。
1つ目は、鍼を身体の中に入れると、身体の反射作用で鍼を刺したところの周辺の血流が良くなります。
肩こりの原因となっている筋肉が緊張することで、筋肉の中を通っている毛細血管が圧迫されて血流が悪くなりますが、鍼を刺して血流が良くなることで、肩こりの原因となっている筋肉の緊張も緩和されます。2つ目は、鍼を身体の中に入れると、鍼の刺激が筋肉の中にある神経に伝わり、神経を介して脳に情報が送られます。そうすると、脳の中で鎮痛効果のある物質が生成されるため、その物質が肩こりの痛みを感じている神経に作用して、肩こりの痛みが軽減されます。
鍼を刺すと、このような反応が身体の中で起きて、肩こりを改善させます。
パルス通電で鍼の効果を高める
当院では、電気刺激が苦手ではない方は、鍼を刺したところに電極を繋いでパルス通電をします。パルス通電をすることでも身体の中で2つの反応が起きます。
1つ目は、パルス通電により、鍼が刺さっている筋肉が勝手に収縮して、ピクピクと動きます。ピクピクと動かすことによって筋肉の中を通っている血管をポンプのように刺激することができ、ポンプ作用で血液を送り出して血流が良くなり、肩こりの原因となっている筋肉の緊張が緩和されます。
2つ目は、肩がこって「痛い」と感じるということは、肩こりの原因となっている筋肉の中にある痛みを感じ取る神経が、「痛い」という情報を肩こりの原因となっている筋肉の中から受け取り、神経を介して脳に情報が伝達されることで脳で「痛い」と判断します。その神経を介する「痛い」という情報は電気信号で送られて脳に届きます。
パルス通電をすることで、身体の外から電気刺激を加え、「痛い」という電気信号で送られる情報を遮断して、痛みを和らげます。
パルス通電を行うと、このような反応が身体の中で起きて、肩こりを改善させます。
また、パルス通電では、2本の鍼にプラスとマイナスの電極をそれぞれ繋いで電気を流すため、その2本の鍼の間の筋肉全体に電気が流れます。ですので、筋肉全体に鍼を何本も刺さなくても少ない鍼の本数で効率よく肩こりを改善させることができるという利点もあります。
お灸で血流を改善して肩こりを改善
肩こりのお灸も、肩こりの原因となっている筋肉にお灸をします。
肩こりの原因となっている筋肉にお灸をすると、身体の中で2つの反応が起きます。
1つ目は、熱刺激で温めることによって血管を拡張させて血流が良くなり、肩こりの原因となっている筋肉の緊張が緩和されます。
2つ目は、お灸を温かくて気持ちのいいくらいの刺激で行うことで、身体がリラックスします。
身体がリラックスしたときには、副交感神経の働きが活発になるため、副交感神経の特徴である血管を拡張させて血流が良くなる作用や、緊張している筋肉を緩める作用がお灸をしている筋肉に働きます。
お灸をすると、このような反応が身体の中で起きて、肩こりを改善させます。
肩こりの原因となる筋肉
肩こりの症状の原因となる筋肉は、肩や首・肩甲骨周りの筋肉の中で、10種類程度あります。
その中でも、肩こりの症状の原因となる代表的な筋肉を紹介します。
僧帽筋(そうぼうきん)
僧帽筋は、首から肩の上・背中まである、肩こりの原因となる筋肉の中でも、一番広範囲を占める大きな筋肉です。
肩の上の痛み(画像の『ポイント1』)・肩甲骨の内側の背中寄りの痛み(画像の『ポイント2』)の原因になります。
肩甲挙筋(けんこうきょきん)
肩甲挙筋は、肩甲骨の一番上から首にある頚椎の側面まで伸びている細長い筋肉です。
肩の上の痛み(画像の『ポイント1』)・側面の肩と首の付け根痛み(画像の『ポイント2』)の原因になります。
頭板状筋(とうばんじょうきん)
頭板状筋は、首にある頚椎の下部から斜め上に伸びて、頭蓋骨に付いている筋肉です。
首の真後ろよりも少し外側の痛み(画像の『ポイント』)の原因になります。
菱形筋(りょうけいきん)
菱形筋は、肩甲骨の内側から背骨までの範囲にある筋肉です。
肩甲骨の内側の肩の上に近いところの痛み(画像の『ポイント1』)・肩甲骨の内側の背中寄りの痛み(画像の『ポイント2』)の原因になります。
肩こりの鍼灸治療
施術方法
上記の肩こりの原因となる代表的な筋肉や、その筋肉を含む10種類程度ある肩こりの原因となる筋肉の中から、問診や触診により、肩こりの原因になっている筋肉を的確に見つけ出します。
そしてその筋肉に、肩こりの痛みの原因となっている筋肉の深さまで鍼を刺します。筋肉の硬いところに鍼を刺すと、痛みとは異なる感覚で鍼を刺したところがズーンと響きを感じることがあります。初めての方は慣れない感覚だと思いますが、この響きは肩こりの痛みの原因を刺激して鍼の効果が現れるサインでもあります。
当院では、太さ0.16mm〜0.25mm程のディスポーザブル鍼(使い捨ての鍼)を使用します。注射針の1/2~1/4くらいの太さです。ですので、注射のような痛みはなく、鍼を刺しても何も感じないという方もいます。
電気刺激が苦手ではない方は、鍼を刺したところに電極を繋いでパルス通電をします。
鍼を刺した状態で10分程度時間を置くと、鍼の効果が現れてきます。
肩こりの鍼治療は、うつ伏せの姿勢で行います。妊婦さんやうつ伏せになることができない内臓疾患をお持ちの方などは、横向きの姿勢で行います。
施術者は、どの筋肉を押しているのかを意識して肩こりの痛みの原因となっている筋肉を触診します。患者様の反応を聞いて、肩こりの痛みの原因となっているポイントを見つけ出して、鍼を刺します。
細かい筋肉を意識して鍼を刺すことで効率良く症状を改善させることができます。
また、鍼治療と併せてお灸をするとより効果的です。
当院では、間接灸という直径1.5cm高さ2〜3mmの円柱型の台座の上で艾(もぐさ)を燃焼させる方法で施術します。
直接皮膚に艾(もぐさ)を乗せるわけではないので、温かくて気持ちがいいくらいの熱さです。
お灸は鍼治療と同時に行います。
お灸も肩こりの痛みの原因となっているポイントに行うことで、症状を改善させることができます。
施術頻度
施術の頻度は症状によって異なります。
症状が強い場合は、初めは週に2・3回施術できるといいです。
症状が軽い場合は、初めは週に1回施術できるといいです。
施術を続けると症状が改善してくるので、経過をみながら施術の頻度を少なくしていきます。
当院では鍼の自費施術は、本数を1~5本 1,800円〜、本数を自由に決めることができ、本数を+2本増やすごとに、+900円で施術します。
お灸の自費施術は、8個まで 1,800円~、個数を自由に決めることができ、個数を+1個増やすごとに、+200円で施術します。
鍼とお灸は続けて施術をする場合、健康保険を使って施術することができます。健康保険を使うことで、自費施術よりも料金を安く抑えることができます。
整体・マッサージの施術を併用して効果を高める
鍼灸治療だけでも効果はありますが、鍼灸治療と整体・マッサージの施術を併用するとより効果があります。
整体・マッサージは、指で痛みの原因となっている筋肉を押すことで、筋肉の緊張が緩和され、血流が良くなり、痛みが軽減されます。
また、指で筋肉を押すことで、肩こりの原因となっている細かい筋肉を触診して、痛みのポイントを正確に把握することができるため、整体・マッサージの施術の後に行う鍼灸治療の効果も上がります。
整体・マッサージで痛みのポイントを正確に把握した後に、整体・マッサージでは届かない身体の奥の筋肉に、鍼で直接アプローチするというイメージです。
当院では、整体・マッサージの施術時間を10分 1,800円〜、時間を自由に決めることができ、施術時間を+10分延ばすごとに、+1,800円で施術します。
まとめ
以上のことから、肩こりの原因となっている筋肉に鍼を刺すと、身体の中で2つの反応が起きます。
鍼を刺して血流が良くなることで、肩こりの原因となっている筋肉の緊張も緩和されます。
鍼を刺すと、脳の中で鎮痛効果のある物質が生成されるため、肩こりの痛みが軽減されます。
パルス通電をすることでも身体の中で2つの反応が起きます。
パルス通電により、ポンプ作用で血液を送り出して血流が良くなり、肩こりの原因となっている筋肉の緊張が緩和されます。
パルス通電をすることで、身体の外から電気刺激を加え、「痛い」という電気信号で送られる情報を遮断して、痛みを和らげます。
また、パルス通電では、少ない鍼の本数で効率よく肩こりを改善させることができるという利点もあります。
肩こりの原因となっている筋肉にお灸をすると、身体の中で2つの反応が起きます。
熱刺激で温めることによって血管を拡張させて血流が良くなり、肩こりの原因となっている筋肉の緊張が緩和されます。
お灸を温かくて気持ちのいいくらいの刺激で行うことで、副交感神経の働きが活発になり、血管を拡張させて血流が良くなる作用や、緊張している筋肉を緩める作用がお灸をしている筋肉に働きます。
肩こりの原因となる筋肉は、肩や首・肩甲骨周りの筋肉の中で、10種類程度あります。
肩こりの原因となっている筋肉を見つけ出し、その筋肉に肩こりの痛みの原因となっている筋肉の深さまで鍼を刺します。筋肉の硬いところに鍼を刺すと、痛みとは異なる感覚で鍼を刺したところがズーンと響きを感じることがあります。この響きは肩こりの痛みの原因を刺激して鍼の効果が現れるサインでもあります。
電気刺激が苦手ではない方は、鍼を刺したところに電極を繋いでパルス通電をします。
また、鍼治療と併せてお灸をするとより効果的です。
施術の頻度は症状によって異なります。
鍼灸治療だけでも効果はありますが、鍼灸治療と整体・マッサージの施術を併用するとより効果があります。
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